おたふくかぜと難聴
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、2~3週間の潜伏期間の後にムンプスウイルスによる耳下腺(耳の下)の炎症(痛みと腫れ)が現れる感染症です。感染してもその多くは後遺症を残さず軽症で終わります。また不顕性感染といって症状が出ない(知らないうちに感染している)ことも約1/3にあると言われています。
しかし、ムンプスウイルスが内耳(耳の奥)に感染してしまうとムンプス難聴を合併します。
ムンプス難聴
日本耳鼻咽喉科学会は、2015年からの2年間にムンプス難聴を発症した方は348人、そのうち300人近くの方が後遺症として難聴が残ったと報告しています。注意すべきは、約90%の方が高度難聴(会話のみならず周囲の状況がわからい程)となってしまったことです。年齢別では、学童期に最も多く、次いで子育て世代である30歳台に多く認められました。
難聴になってしまうと普段の会話が聞き取りにくくなるだけでなく、音への反応が鈍くなったり、耳鳴りやめまいを合併したり、コミュニケーションにも支障が出てしまうこともあります。
予防
ムンプス難聴の最大の予防法はおたふくかぜワクチンの接種です。現在は任意接種ですが、1歳時と就学前のMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)と同時期に接種することが推奨されています。
ムンプス難聴を予防するためにも、2回のおたふくかぜワクチンを接種しましょう。